第338話 人生ゲーム
2017-10-24 Tue 00:00
ゲーム通じて楽しく世の中の仕組みを楽しくわかって欲しいという思いから、
人生ゲームを購入。
ユンも俺も子供の頃遊んだ覚えがある。

まぁやの家で我々家族3人にまぁやを加えた4人でゲームをしてみた。
翌日は、まぁやと遥人だけになるから、2人でやればいい暇つぶしになるだろう。

人生ゲームはすごろくなので運の要素が強いが、保険、株券、あるいは家を買ったり、職業を選んだりするところでも、結果が大きく左右するのだ。
どういう戦略が良いかは、そのときの駒の配置で考えてもよい。

ユンが仕事帰りに遥人を迎えにまぁやの家にきたとき、
「人生ゲーム楽しかった!」
と開口一番に遥人。

「まぁやと遥人だけでやって、そんなに面白いかね?」
とユンは思った。

「2人ともルーレットの回し方でいかにいい数字を出すかを研究していた」
と遥人。
ルーレットで「10」を出す訓練を熱心にやっているのを想像すると笑える。

人生ゲームのコツって、そこじゃないでしょ!

(2017年10月24日初稿)
スポンサーサイト
別窓 結婚生活 コメント:0 トラックバック:0 ∧top under∨
第337話 ロックアウト
2017-10-21 Sat 00:00
鍵を自宅に忘れて外出したことに気が付き、電車の中からメールをした。
俺が鍵を忘れたまま外出するのは、年に数回ある。

その日の夕方、ユンが遥人を習い事の迎えに自転車で行った際、
どこかで家の鍵を落とした。
ユンが家の鍵を落としたのは生まれて初めて。
必死に探すも鍵は見つからなかった。

鍵を紛失したことをメールで知った俺は、
会社から急いで帰った。



偶然が重なり俺たち3人は家から締め出された。
家に入る方法は、ただ一つ。
鍵屋さんに解錠してもらうしかない。

家の近くのショッピングセンターの鍵を作れるところ2箇所に相談に行ったら、
両方とも本日中の対応は無理とのこと。

仕方が無いのでユンがスマホで探した業者にお願いすることにした。
電話したところ、見てみないと費用はわからないという。
ウチの鍵は特殊なので、解錠にはそれなりの時間と費用が掛かりそうだ。
やむを得ない。



1時間以内にライトバンに乗って鍵屋さんがやって来た。
30代ぐらいの若い感じの人だった。

とりあえず、ユンが立会った。
作業員には見つからないように、は遥人と一緒に自宅から数十メートル離れた場所に居た。
もちろん俺たちからは、玄関先の様子はある程度わかる。

「これは解錠が難しいので、代金は10万円と消費税の合計108,000円になります」
と作業員。

「えええっ?そんなにするんですか?どうしよう」
とユンが言うと、

「本来なら作業料は10万円なんですが、この手の鍵で一番簡単なレベルということに会社に報告しておけば、5万円で済みます。会社には内緒にしておいてください。どうしますか?」

微妙な値段だ。
困っていることをいいことにふっかけてきている。
1~2万円が相場だと思っていたから、半額になってもかなり高額だ。

なお、俺は出張に行っているので、今日は帰ってこないという設定にしていた。
というのも、
「あまりにも高かったら、主人が出張から帰ってくるまで待ちます」というふうに言えば安くなるのではないかと思ったからだ。

だが作業員は、この値段からは一切引けないという。
「この値段だったら、ご主人が出張から帰ってくるまで待ったほうがいいかもしれません。あるいは、家の中にカギがあるのがわかっているのでしたら、窓を叩き割って入ったほうがいいかもしれません」
とユンは言われた。
この作業員はいい人なのか悪い人なのかわからない。
窓を叩き割るとあとが面倒だし、どうしようか?

作業員が解錠を試みている間、ユンはときどき遠くで見つめる俺にメールで状況を知らせてきていた。
「どうする?」
とユンからメールがきたので、
「仕方ないので5万円でやってもらえ」
と回答した。



解錠に30分以上かかったが、ようやく開いた。
「消費税込で5万4千円です」
と作業員。

鍵屋が来る前に、あらかじめ銀行でおろして来たお金をユンに渡しておいたので、
ユンは現金で払った。

「代金を現金で払う人、なかなかいませんよ」
と作業員。
いつもはお客様の支払いはカードらしい。
どれだけ儲けているんだよ。
いい商売だ。

鍵を無くすのって、精神的、経済的、時間的にもめちゃめちゃキツイな。
5万4千円あれば、ランチ100回食える。
あ~。

これも日記のネタになるからいいかと自分に言い聞かせた。
そうでもないとやってられない。



「もし俺が次に転職することがあったなら鍵師だな」
と思った。

(2017年10月21日初稿)
別窓 結婚生活 コメント:0 トラックバック:0 ∧top under∨
第336話 そして僕は途方に暮れる
2017-10-18 Wed 00:00
4年生になった遥人と二人で初夏の森林公園に行った。
年に1,2回しか行かない公園だが、遥人が幼稚園時代から行っているので、よく知っている公園だ。

ひとしきり遊んだあと、
「ぼく、サイクリングしたい」
と遥人。

ここでサイクリングするのは初めて。
年齢的にもそろそろサイクリングがしたいんじゃないかと思っていたので、
ここに来る前に調査していた。
ホームページで調べたら、電動アシスト自転車も借りられるらしいから、俺はそれにしよう。



自転車を借りに行ったら、
「電動アシスト自転車のレンタルはここではやっていません」
と言われた。大ショック!!

公園内で自転車をレンタルできるところが3箇所あるのだが、そのうちの1つでしか電動アシスト自転車のレンタルが無いという。そこは遠いので、電動自転車を諦めた。

俺は普通の自転車、遥人はこども用マウンテンバイクルック車にした。
森林公園には自転車専用道路が充実しており、道もよい。

「公園北側には行ったことがないから、そこに行こう!」

何年も来ている公園だが、園内バスが通って無く、
遊具も無い北側には近寄ったことも無かった。
とてもじゃないけど、遠すぎて歩いては行けない。

だから、自転車でそこを目掛けて走った。

【西サイクリングセンター】を出発して、
途中、【渓流広場】で休憩し、さらに公園内の道を楽しんで走った。

【ボーダー花壇】まで来た時、遥人が俺の少し先を走った。
そこはゆるい下り坂だった。

見失うといけないので、急いで追いかけた。
途中、親子4人組がのろのろ走っていて、それを抜かすのに戸惑った。

坂を下り終えたころ、遥人は100メートル以上先を走っていた。
「止まれ~。遥人~!!」
全力で叫んだが、俺の声は届かなかった。
そして遥人は、視界から完全に消えた。



だらだら上りが200メートル以上ある坂を全力で自転車を漕いだ。
そして、【自然探勝路】付近の二つに分かれているところに来た。
遥人はここにもいない。
まっすぐ行く本線か。それとも右に折れるか。
右に折れると北口に行くことを地図で確認した。

数分そこで待ってみたが来ない。
普通に考えたらまっすぐ行くだろうと思い、
一か八かで直進した。

【北展望所】、【北休憩所】を通過した。
とにかく必死になって自転車を漕いだ。
間違いなく今年一番ハードな運動だ。
電動アシスト自転車でないのが恨めしい。

【生垣園】まで来た。
遥人を見失ってから3キロぐらい走ったと思う。
そのちょっと先に合流点がある。

この自転車専用道路は一方通行であり、
北口方面へは反時計回りになっている。
合流点で左に曲がると、
さっき遥人を見失った【ボーダー花壇】に戻るのだ。

そして、もう1回同じ道を走ってみた。
だが、遥人は見つからない。
遥人を見失ってから、かれこれ20分は経過した。

もう迷子のアナウンスをお願いするしかない。
最悪なことに俺の電話はPHSだ。
街で生活しているぶんには、全く困らないのだが、
山に入るとほとんど通じないのが欠点だ。

森林公園の中で通じる場所は、ほとんどゼロに近かった。
遥人を見失ってからずっとPHSの電波は圏外だ。

レンタル自転車のカゴに公園事務所の電話番号が書いてあるのに、
電話が通じないのは皮肉な話。
緊急時ゆえ、ときどきすれ違う自転車に乗った人に電話を借りても良かったが、
結局、常時連絡が取れないのはまずいと思った。

遥人は小学4年生だが、
人見知りなこところがあるので、困った時に声を掛けられるかどうか。
どうしても悪いことを考えてしまう。



まず遥人の服装。
Tシャツに7分丈のズボンだ。
この時間帯はいいが、
万が一、公園に取り残されたら初夏とはいえ夜は寒いだろう。
残念なことに遥人の上着は俺が預かっていた。

そして遥人は電話も地図も持っていない。
ディズニーランドの6倍も敷地があるのに、地図を持っていないのだ。
たとえ、自転車専用道路から外に出なくても、どこを走っているかわからなかったら、
探すことは難しい。
体力を消耗し、どこかで休んでいるかもしれない。

また、時間も気がかりだ。
午後5時に閉園するのだが、その30分前には退園勧告される。
閉園時間までには、完全に公園の外に出ていなければならない。
公園が広すぎるので、出口まで一番遠い人は、徒歩で30分から1時間かかる。
その時間までに見つからない場合は、
最悪そこで一夜過ごすことになるかもしれない。
公園の照明が無い場所も多い。
見つからなかったらどうなるかわからない。

一人で行動しているので誘拐される心配もある。
そうなった場合は、目撃者がいない可能性が高いので最悪だ。

まだ午後3時だ。
しかしこのような理由から、あと1時間以内に見つからないとまずいと思った。

こういう事態に備え、
万が一迷子になった場合の集合場所を決めておけばよかった。

色々思うところはあったが、とにかく園内放送を入れなければ。



俺は全力でサイクリングロードを走り、やっと「ハーブガーデン」先の「植物園展示棟」脇にある売店を見つけた。

「すいません。息子が迷子になりました」
必死の形相で駆け込んだ。

「お子さんは、何歳ですか?」
と売店兼カフェのおばちゃん。
こういったことがよくあるのか、手馴れた様子。

「9歳です」

「どこで迷子になりましたか?」

「二人でサイクリングをしていたんですが、先に息子が行ってしまい、見失いました」

「それぐらいの年頃の男の子はよく親とはぐれることがあるんですよねぇ。小学生といえど、けっこう速いですから」

「そうなんです」

「だいたいでいいので、見失った場所を教えてもえますか?」
俺は遥人を探している間ずっと握り締めていた園内マップを広げた。
体から出てきた汗でぐちゃぐちゃになっていた。
おばちゃんは、新しい園内地図をくれた。

「このあたりです」
と地図を指差した。

「どんな服装をしていましたか?」

「ええと…?」
すっかり動揺していてすぐには思い出せなかったが、
ラッキーなことに【渓流広場】で遥人の写真を撮っていたから、デジカメを見ながら説明をした。
実はこのとき、デジカメの画面を見ながら説明したにもかかわらず、
服の色を少し間違えて言ったことがあとで判明した。
自分が色弱であることをすっかり忘れていた。

ひととおり説明が終わったら、おばちゃんは管理事務所に連絡してくれた。
そしてすぐに園内放送が。

「自転車に乗り、黒いTシャツと、赤とオレンジの横じまのズボンを履いた9歳の男の子が迷子になりました。名前はタナカハルトくんです。お心当たりのある方は…」

園内放送の後、おばちゃんは言った。
「見つけたら電話しますので、電話番号を教えてください」

「一応電話番号を言いますが、残念なことにPHSなので、ほぼ繋がりません」

「もしハルトくんが見つかった場合、電話が繋がらないときは、園内放送を入れます。お父さんは、【生垣園】の先の合流点で待ち伏せしていてください」

売店のおばちゃんに別れを告げ、合流点までやってきた。
そこで5分ぐらい待った。
だが、遥人は来ない。

「誰かが見つけたら園内放送入るんだし、ここにじっとしていられない。北口のほうを探してみよう」

みたび、【ボーダー花壇】から【自然探勝路】付近の二つに分かれているところまで来た。
右に折れ、北口改札を目指した。

200メートルぐらい走ったところで、公園の係員と出くわす。

「このへんで男の子見ませんでしたか?」
と係員が話しかけてきた。

「実は、私がその父親なんです。息子を探して走り回っています。逆に何か知っていることがあれば教えていただきたいのですが」
と言うと、

「さきほど北口改札から園内に入ってきたお客さんから『このあたりでその子を見た』という連絡が入りました。おしゃれな服を着ていたので覚えていたとのことです」
と係員のおじさん。

「ありがとうございます」

「こちらから北口方面は私が監視していますので、お父さんは、元の道に戻ってください」


見失ったあと、【自然探勝路】付近の分かれ道を遥人は右の北口出口方面に進んで、
俺はまっすぐ本線を進んだ。
いくら待っても来ない遥人は、北口改札からもとの道に戻ったのだろう。
そして、俺が【生垣園】先の合流点からボーダー歌壇のほうに戻っている間に、
後から追いかけてきた遥人が通過したのかもしれない。
いずれにせよ、公園中の係員が遥人を探してくれているんだ。
心強かった。
しかし、いったいどこにいるんだよ。



北展望所のあたりを少し過ぎたあたりで、園内放送が聞こえた。
「タナカハルトくんのお父様。ハルトくんが西サイクリングセンターにてお待ちです」

おおおおおおおおおおお!
遥人~!生きていたか。よかった。

とにかく全力で自転車を漕いだ。
途中の売店で、園内放送を聞いたことを伝えようと思ったが、
とにかく1秒でも早く遥人に会いに行こうと思ってただひたすら自転車を漕ぐことだけを考えた。
しかし、西サイクリングセンターまでは3キロ以上あった。
しかも延々と登り坂が続く厳しい道のりだった。



西サイクリングセンターに着いた俺は、自転車から飛び降りると、
自転車がたくさん置いてある建物に入った。

「すみません。タナカハルトの父です。ご迷惑をおかけしました」
と係員に言った。

「遥人はどこだ?」
見渡すと、その建物のはじっこのベンチで横になって寝ていた。
遥人も自転車を漕ぎすぎて疲れて寝てしまったのだろう。
顔には涙が乾いた跡がしっかり残っていた。

ぽんぽんと肩を叩くと遥人は起き上がった。
お互い言葉が出ない。

俺はしばし無言で遥人を強く抱きしめた。



遥人が落ち着いたところで、
西サイクリングセンターを出てベンチに座り、
おやつと飲み物を買い与えた。

「(自然探勝路の分かれ道で)なぜ、右へ行った」

「だって、サイクリングの最初にパパが北口を目指すって言ったから」

「それは北口方面に行くという意味で言ったのであって、北口に行くという意味じゃない」

「そんなの知らないよ」

「まあそれはいい。どうして西サイクリングセンターに行こうと思ったの?」

「だって、最初にここから出たから。元の場所に戻るほうがいいと思った」

「そうかぁ。そういう考え方はあるな。でも、遥人は地図を持っていなかったよね?」

「うん」

「どうやって、ここに戻ってこれた?誰かに聞いたの?」

「ううん。道の脇にところどころあった地図を見た」

「それだけでよくわかったな。地図をみて今いる位置と、どこに行けばいいかわかったってことか」

「それに道に(進行方向を示す)矢印があったし、標識もあったから戻って来れた」

小4にもなれば、なんでもできるんだ。
息子の成長を頼もしく思った。

一休みしてから、
森林公園を出てバスに乗り、駅まで戻ってきた。



帰りの電車の車両は、たまたまTJライナーだった。
TJライナーとは、東武鉄道の有料通勤列車で、座席がかっこいい。
森林公園から池袋方面に行く場合は、無料で利用できるのだ。

「やったー!ラッキー!TJライナーだ。かっこいい!」
憧れの電車を目の前にして大はしゃぎの遥人。
立ち直るの早っ!

「親が子を思う気持ちなんて、親にならないとわからないだろうな」
どれだけ心配したことか。



今年一番の運動をした俺は、
翌日の月曜日、会社に行くのが辛かった。

(2017年10月18日初稿)
別窓 結婚生活 コメント:0 トラックバック:0 ∧top under∨
第335話 お花屋さん
2017-10-15 Sun 00:00
遥人が幼稚園に通っていた頃は、
月に1回ぐらいまぁやが我が家に来ていた。

孫(遥人)に会いに来るのが一番の目的だと思うが、
まぁやの近所より、ウチの近所のほうが都会なので、
いろいろな店を見るのも好きらしい。

「この街に来ると、花屋は必ずチェックするわ」
とまぁや。

まぁやは華道の先生。
「さすがだね、他の街に来てまで、お花屋さんをチェックするなんて勉強熱心だ。何歳になっても向上心があるなんて偉いな」
俺もユンも感心した。

「でも、そのわりには(ウチにお花を)買ってきたことないよね」
とユンがまぁやに言うと、

「えっ?買ってきたじゃないの」
とまぁやは、テーブルの上のレンコンサラダを指差した。

「えええっ!何それ」
俺たちは驚いた。

まぁやがチェックを欠かさないのは、お花屋さんではなく、駅ビルのテナントに入っている「HANA-YA」という1グラム単位で量り売りをしている安い惣菜屋さんのことだった。
まぁやが我が家に遊びに来る時は色んな食べ物を買ってくる。
少しづつ色んなものを食べるのが好きなんだそうだ。

「はなや」って、そっちかよ!
食いしん坊のまぁやらしい。

(2017年10月15日初稿)
別窓 結婚生活 コメント:0 トラックバック:0 ∧top under∨
第334話 香港土産
2017-10-12 Thu 00:00
ユンが土産を貰って帰ってきた。
「これよかったら食べて」

「ん?これどうしたの」

「住田さんから貰った。香港土産だって」

早速その箱入りのクッキーを食べてみた。
「思ったよりうまいじゃん」

「それはよかった」

「でも、どうして今頃?」
ユンの職場仲間の住田さんが、香港に行ったのはずいぶん前だった気がする。
住田さんとはそれほどの親しくはないのでユンに土産をあげる必要も無いと思うのだが。

「それがさぁ、みんなに土産配っていたら私の分が足りなくなったみたいで、どこか帰国後に買ったようだよ。そこまで無理しなくてもいいのにね」

クッキーのパッケージは香港の夜景を全面的に出しているので、
間違いなく香港土産だ。
だが外箱に貼ってあったシールを見ると、大阪の業者が輸入販売していることがわかった。
しかも、メイド・イン・台湾。

…むむむ。もはや、どこの土産かわからなくなっている(笑)

(2017年10月12日初稿)
別窓 結婚生活 コメント:0 トラックバック:0 ∧top under∨
 HOME  NEXT